忘れられない記憶のお店というのは、誰でもあるかと思うが私の場合は「ラーメン二郎」がそのひとつだ。

行ってみた人はわかると思うが、あの強烈な味とボリュームが学生をとりこにしていて、一説ではラーメン二郎フリークの事を「ジロリアン」と呼ぶ。

今でこそ各地に店舗があり、本店の三田以外でも味わえるが、やはりラーメン二郎といえばそこを切り盛りする店主の存在が忘れられない。

私のラーメン二郎デビューは大学3年の時だった。日吉から三田校舎に行くことになり、いつも並んでいるのを見て、あれが噂の二郎かと横を通り過ぎていたが、ある時大学の仲間に誘われ行くことになった。

仲間に聞いてみると、何やら食べるまでの独特なオーダー方法があるらしい。まず、行列のため、完全入れ替え制なことだ。映画館以外入れ替え制など経験したことはなかったが、前の組が食べ終わるまで次のグループに食べる順番が回ってこない。

数十分たってようやく座ることができてオーダーになった。店主が一人一人順番に何やら聞いていく。客は「小」か「大」など呪文のように唱えていく。私も事前に予習していたので、訳もよくわからず「ショウ」と言うと、店主は「はい」と言って一斉に作り始める。そう、完全に店主主導なのだ。トッピングの時に「小豚からめニンニク」などトッピングの種類をオーダーする。

待っている間や食べているときは基本的に無言。しゃべって駄目という決まりはないが、なんとなくそんな雰囲気。

しばらく待つと自分の前に強烈な濃いスープの味と大胆なチャーシューと太麺がどんぶりにどさっとのっかり、すっかり圧倒されてしまった。食べてみるとうまい!ただ、初めてだったということもあり、かなり頑張ったのだがチャーシューを若干残してしまった。

「ラーメン二郎」は私にとって強烈な思い出で、しっかり記憶に残っているが、これは味だけではなく、独特なオーダー方式と店の中の雰囲気だ。店主のおやじさんが生み出す尖った雰囲気はまさに二郎ファン、いやジロリアンを生み出し、そこから広がって何店舗か出店している。

まさに「俺の世界」を作り出し、それを店の中で実現しているからこそ、それに魅了されたファンたちが今日も並んでいる。その辺にあるラーメン屋ではなくラーメン二郎の世界に魅せられたファンたちがそれを広めているのだ。